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輸入ビジネスで絶対に押さえておきたい輸入販売の法令

輸入ビジネスを成功させるためには、各国の法規制を十分に理解し遵守することが不可欠です。ここでは、日本における輸入ビジネスに関して押さえておきたい主要な法律について詳しく解説します。

 

輸入に関わる法令まとめ

1. 関税法

関税法は、輸入される商品の関税を管理・徴収するための法律です。関税の適用対象、税率、納付方法などが定められています。以下に重要なポイントをまとめます。

関税率:商品ごとに異なる関税率が設定されています。関税率の確認は税関のウェブサイトやHSコード(国際商品分類コード)を参照します。

関税の計算方法:関税額は、商品の輸入価格に関税率を掛け合わせて計算します。輸入価格には商品の価格だけでなく、輸送費や保険料も含まれる場合があります。

関税の納付:関税は商品が到着した際に税関に納付する必要があります。納付期限や方法を事前に確認し、適切に対応します。

詳細については下記の税関のホームページに掲載されていますので、こちらをご確認下さい。
輸入関係他法令一覧表|税関

2. 消費税法

日本において、輸入される商品には消費税が課されます。消費税の計算方法や納付についての基本事項を押さえます。

消費税率:現在の日本の消費税率は10%です(軽減税率対象品目は8%)。

消費税の計算方法:輸入価格に関税を加えた合計金額に対して消費税が課されます。

消費税の納付:消費税も関税と同様に、税関で納付する必要があります。納付期限や手続きについて事前に確認しておきます。

輸入に関する消費税の課税について、Q&Aを日本貿易振興機構のJETROさんのホームページでもご紹介されています。

3. 輸入貿易管理令

輸入貿易管理令は、特定の商品が輸入される際の規制を定めた法律です。輸入禁止品や許可が必要な商品について詳述します。

輸入禁止品:麻薬、拳銃、爆発物など、公共の安全や道徳に反する商品は輸入が禁止されています。

輸入許可品:一部の商品(食品、医薬品、化粧品など)は輸入する際に特別な許可が必要です。関係省庁からの許可を取得する必要があります。

輸入制限品:文化財、野生動植物、特定の化学物質など、一部の商品は輸入数量が制限されています。これらの商品を輸入する際は、事前に関係機関に確認が必要です。

詳しくは経済産業省の「輸入承認制度別一覧」に記載されていますので、こちらをご確認下さい。

4. 食品衛生法

食品を輸入する場合、食品衛生法の規制を遵守する必要があります。具体的な規制内容と手続きを紹介します。

輸入届出:食品を輸入する際は、事前に厚生労働省に輸入届出を行う必要があります。届出には、輸入する食品の成分表や製造方法などの詳細情報が含まれます。

検査:食品は輸入時に検査を受ける必要があります。検査には微生物検査、残留農薬検査、添加物検査などが含まれます。

表示義務:輸入された食品には、日本語での表示が義務付けられています。表示内容には原材料、賞味期限、製造者情報などが含まれます。

詳しくは厚生労働省の「食品衛生法に基づく輸入手続」にて記載があります。

5. 医薬品医療機器等法(薬機法)

医薬品、医療機器、化粧品を輸入する場合、薬機法に基づく規制を遵守する必要があります。

輸入許可:医薬品や医療機器を輸入する際には、厚生労働省からの輸入許可が必要です。許可取得のためには、製品の品質、安全性、有効性に関する資料を提出します。

製造販売承認:輸入した医薬品や医療機器を国内で販売するには、製造販売承認を取得する必要があります。

表示義務:医薬品や化粧品には、日本語での成分表示や使用方法の表示が義務付けられています。

詳しくは厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」に記載があります。

6. 商標法・著作権法

輸入する商品が他社の商標や著作権を侵害していないか確認する必要があります。

商標権:他社の商標権を侵害する商品を輸入すると、法的なトラブルに発展する可能性があります。事前に商標権の確認を行います。

著作権:輸入する商品が他社の著作権を侵害していないか確認します。特にデザインやキャラクターを使用した商品に注意が必要です。

7. 知的財産権の保護

知的財産権の保護は、輸入ビジネスにおいて重要な側面です。以下に知的財産権に関連する法規制を紹介します。

特許法:技術的なアイディアや発明に対する保護を目的としています。輸入する商品が特許権を侵害していないか確認します。

意匠法:商品のデザインに対する保護を目的としています。輸入する商品のデザインが他社の意匠権を侵害していないか確認します。

詳しくは「知的財産侵害物品の取締り」のサイトにて記載があります。

8. 消費者保護法

輸入した商品を国内で販売する際には、消費者保護法を遵守する必要があります。以下に主な規制内容を紹介します。

表示義務:商品には正確な情報を表示する義務があります。虚偽の表示や誤解を招く表示は禁じられています。

保証:輸入した商品の品質保証やアフターサービスを提供する義務があります。返品・交換ポリシーを明確に定め、顧客に対して公正な対応を行います。

消費者庁に掲載されている公表資料にてご確認下さい。

9. 環境保護関連法

環境保護に関する法律も輸入ビジネスに影響を与えることがあります。以下に主要な規制を紹介します。

廃棄物処理法:輸入した商品やその包装材が廃棄される際の適切な処理方法を確保します。リサイクルや適切な廃棄処理を行います。

特定有害廃棄物の輸出入等の規制に関する法律:特定有害廃棄物の輸入には厳格な規制があります。輸入前に該当する商品の確認を行います。

経済産業省のページにて紹介されています。事前相談などもありますので、ホームページよりご確認下さい。

10. その他の関連法規

輸入ビジネスには他にも様々な法律が関係しています。以下にいくつかの例を挙げます。

輸出入取引法:輸出入に関する基本的なルールを定めた法律です。取引の公正性や安全性を確保するための規制が含まれています。

関税定率法:関税率の設定や変更に関する法律です。特定の商品に対する関税の優遇措置などが定められています。

輸出管理規制:一部の商品や技術は輸出管理規制の対象となるため、輸入ビジネスにおいても関連する規制を確認します。

法規制遵守のための具体的な対策とは

1. 法律の専門家を活用する

輸入ビジネスに関わる法規制は複雑で多岐にわたります。そのため、法律の専門家(弁護士、行政書士、税理士など)を活用し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

2. 関係省庁との連携

関係省庁(経済産業省、厚生労働省、財務省など)との連携を強化し、最新の法規制情報を入手します。必要な許可や認可の取得を円滑に行うため、担当部署とのコミュニケーションを密にします。

3. 社内コンプライアンスの強化

社内にコンプライアンス担当部門を設置し、法規制遵守のための体制を整備します。定期

的な法規制のチェックや社員教育を行い、全社員が法規制を理解し遵守できるようにします。

4. 輸入手続きの標準化

輸入手続きに関する社内マニュアルを作成し、手続きを標準化します。これにより、法規制に適合した輸入プロセスを確立し、ミスを防ぎます。

5. 関税・税務の適正管理

関税や消費税の適正な計算と納付を行うための体制を整えます。専門の税理士を雇用し、税務申告の適正化を図ります。

6. 製品の品質管理

輸入する商品の品質管理を徹底します。仕入先の選定や品質検査の実施を通じて、輸入する商品の品質を保証します。

7. 情報収集と更新

法律や規制は頻繁に変更されることがあるため、最新の情報を常に収集し、社内の手続きや方針を適宜更新します。関係省庁や業界団体のセミナーやウェブサイトを活用し、最新情報を入手します。

輸入元である各国の法規制を把握する

アメリカ

FDA(食品医薬品局):食品、医薬品、化粧品、医療機器の輸入に関する規制を管理。

CPSC(消費者製品安全委員会):消費者製品の安全基準を設定し、輸入品の安全性を確保。

USDA(農務省):農産物や食品の輸入規制を管理。

欧州連合(EU)

CEマーク:特定の商品(電子機器、玩具など)はCEマークの取得が必要。

REACH規則:化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規制を遵守。

食品安全:欧州食品安全機関(EFSA)による規制が適用。

中国

CCC認証:特定の商品(電気製品、玩具など)は中国強制認証(CCC認証)が必要。

CIQ検査:中国の税関が輸入品に対して実施する品質検査。

食品輸入規制:食品の輸入には国家質量監督検査検疫総局(AQSIQ)の許可が必要。

具体例を通じて法令の理解

1. 食品の輸入

食品を輸入する場合、食品衛生法に基づく届出と検査が必要です。例えば、アメリカからスナック菓子を輸入する場合、輸入者は厚生労働省に輸入届出を行い、税関で検査を受ける必要があります。表示義務も厳しく、成分表や原産地情報を日本語で表示しなければなりません。

2. 化粧品の輸入

化粧品を輸入する場合、薬機法に基づく許可と表示義務があります。例えば、韓国からスキンケア製品を輸入する場合、輸入者は厚生労働省から輸入許可を取得し、製品の成分や使用方法を日本語で表示する必要があります。

3. 電子機器の輸入

電子機器を輸入する場合、技術基準適合証明(技適マーク)やPSEマークが必要です。例えば、中国からスマートフォンを輸入する場合、輸入者は総務省から技適マークの取得を行い、電気用品安全法に基づくPSEマークも取得する必要があります。

分野によって変わる法規制事例の紹介

ケーススタディ1: ファッションアパレルの輸入

アパレル製品をイタリアから輸入する際の手続きと法規制を例に挙げます。

商品選定:イタリアの高品質な革製品を選定。

輸入手続き:関税法に基づき、適正な関税を支払い、消費税を納付。

表示義務:繊維製品には繊維の組成や洗濯方法を日本語で表示。

商標権確認:輸入するブランドが日本で商標登録されているか確認し、侵害がないことを確認。

ケーススタディ2: 電子部品の輸入

電子部品を台湾から輸入する際の手続きと法規制を例に挙げます。

商品選定:高品質な半導体部品を選定。

輸入手続き:関税法と消費税法に基づき、関税と消費税を適正に納付。

技適マーク取得:無線通信機能を有する部品については技適マークを取得。

REACH規則遵守:電子部品に含まれる化学物質がEUのREACH規則を遵守していることを確認。

まとめ

輸入ビジネスを成功させるためには、関連する法規制を十分に理解し遵守することが不可欠です。

関税法、消費税法、輸入貿易管理令、食品衛生法、薬機法、商標法、著作権法、特許法、意匠法、消費者保護法、環境保護関連法など、多岐にわたる法律を把握し、適切な手続きを行うことが求められます。

また、最新の法規制情報を常に収集し、社内体制を整備することで、法規制に対応したスムーズな輸入ビジネスの運営が可能になります。

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